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うつ病マーケティング


 アメリカのケーブルテレビ局にCNNというのがありますが、1985年から2010年までCNNで放送されたLarry King Liveという人気のトーク・ショー番組がありました。毎回ホストのラリー・キングが各界の有名人、著名人を招いてインタビューし、会話を楽しむという、CMを入れると1時間になる番組でした。この番組が日本のケーブルテレビで見られるようになったのは、私がアメリカに長く住んで日本に帰って来たばかりの頃で、アメリカの最新の状況が判るので、私はCNN、中でもLarry King Liveは好きな番組で、よく視聴していました。Larry King Liveを見ていて一つ気になる、奇異な現象に気が付きました。出演した有名人、特に芸能人が、自分はその時、「depressed」な状態であったと盛んに言うのです。「depressed」とは日本語で言えば、「落ち込んだ」、「気が沈んだ」、「うつ状態」と言った意味です。あるいは「depression」という名詞にして、私はその時「depression」で苦しんでいたという発言もしばしばありました。「depression」とは「落ち込み」、「抑うつ」、「うつ状態」、さらには「うつ病」という意味です。アメリカ人は何でそんなにdepressionという言葉を使いたがるのか不思議に思っていました。精神医学や精神治療薬について何も知らなかった当時の私は、「depression」を意識するのはアメリカの国民性の一つなのかなぐらいに単純に考えていました。

 しかし今になって思い返してみると、Larry King Live の番組を日本で私が視聴し始めた頃というのは、1980年代の終わりの頃で、SSRIと呼ばれる新世代抗うつ薬がちょうどアメリカで発売されたころでした。イーライ・リリーというアメリカの大手製薬会社がSSRIの第一号である商品名Prozac (一般名fluoxetine - フルオキセチン)という薬を発売しています。depressionという事に国民の注意を向ける、depressionを意識してもらうということは、Prozacを拡販するためには有効な手立てであるとイーライ・リリーは考えたことでしょう。アメリカは資本主義の頂点にある国で、マーケティング手法も世界で最も発達した国といえるでしょう。医薬品そのものを消費者に直接広告・宣伝することは当時はまだ規制が今ほど緩やかではなく、簡単ではなかったのです。しかし消費者の中に「うつ病」という観念を植え付ければ、自分もうつ病かも知れないと思って消費者は医師や精神科医の所に行き、最終的に自社の抗うつ薬を飲んでくれるだろうとイーライ・リリーは読んだことでしょう。各種業界の中でも特に製薬業界は、製品をを売るために悪知恵を絞って、巧妙で狡猾なやり方を考え出すのが得意です。

 製薬業に限らず、有名人に自社製品を売り込んでもらうのはproduct endorsementといって極めてよくある手法です。アメリカだけではなく、日本でもこれは広く使われているマーケティング手法です。ただ薬の場合には、消費者は飲む薬の商品名までは選べません。医師が通常薬を選びます。ですから消費者にはdepressionについて知ってもらい、意識してもらい、医者の所に行ってくれればそれだけでいいのです。後は製薬会社は医師に自社製品の広告・宣伝をすれば、それで目的が達成できます。特にthought leaderと製薬会社が呼ぶ医師に的を絞って営業活動をすれば効果的です。thought leaderとは医学部の教授であったり、それぞれの医学分野で影響力をもっている人で、その人がA社のBという薬をよく使っている、A社のBという薬がいい薬だと言ってくれれば、他の医師も皆、followerになって、同じ薬を使ってくれます。

うつ病という言葉のない国

 環太平洋精神科医会議(Pacific Rim College of Psychiatrists:PRCP)という太平洋圏諸国の精神科医が集まって構成する組織があります。2年に一回太平洋圏のどこかの国に行って、学術集会(Scientific Meeting)というのを持ちます。数百人の参加者が海外も含めて集まり、学会会議のように講演や研究発表があります。会議はすべて英語で進行されます。2008年秋に東京でこの会議が開かれたました。精神科医でなくても参加できるということだったので、興味を持った私も全3日間参加して、スピーチや議論を聞きました。

 会場でインドからの参加者が言った言葉が印象的で今でもよく覚えています。

 WHO(世界保健機関)にはICD(International Classification of Diseases-国際疾病分類))と呼ばれる書類があります。アメリカにはDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders - 精神障害の診断と統計マニュアル)というものがありますが、これはあくまでもアメリカ国内で使われるものであって(法律的にも)、アメリカ以外の国ではそのままでは使えない国が多いのです。そこでWHOがDSMをひな型にして、ICDの中でも特に「精神及び行動の障害」に関する部分を細かく記述し、診断のガイドラインとしても使えるようにしました。現在出回っているのはICD-10と呼ばれてますが、10とは第10版という意味です。ICD-10は現在改訂中で、2017年にICD-11がリリースされる予定のようです。

 ICDはDSMをひな型として使っていますから、DSMが改訂されると、ICDもそれに合わせて改訂
する必要があります。ICDはまたWHO加盟の43ヵ国の言葉に翻訳する必要があります。インドには多数の言語があります。ところが言語によっては英語のdepressionに相当する言葉がないので、ICDを現地の言葉に翻訳するのに苦労することが多いとこのインドの参加者は言っていました。さらにこのインドの参加者の話ですと、アフリカでも同じような事情を抱えていて、アフリカに多数ある土着の言語の中にはdepressionに相当する言葉がないものもあるのだそうです。

 果たして日本ではどうでしょうか?正確には私にも判りませんが、「うつ」、「うつ病」、「抑うつ」といった言葉はどうも英語のdepressionの翻訳語として日本でいつの頃からか使われ出し、広まり、今、これだけ普及して使われるようになったのではと私には思えます。「うつ」という言葉が遠い昔から日本にあったとしても、「気分が落ち込んでいる」、「気分が沈んでいる」、「気分が暗い」とか「憂うつ」だ、「暗うつ」だとか言った意味で使われていて、それが病気である、病気だから治療した方がいいなどという意識や、発想はそもそもなかったのではないかと思います。

双極性障害

 これは明らかに英語のbipolar disorderの訳語として日本語に導入されたものと思われます。「うつ」状態と「躁」状態を同じ人があわせ持ち、「うつ」と「躁」の状態を行ったり来たりしているという精神障害と定義されています。双極性障害なる言葉が使われるようになる前は、「躁うつ病」と呼ばれていたものです。日本でも年配の精神科医が語るところによると、昔は、「躁うつ病」などは滅多になかったそうです。SSRIを初めとする抗うつ薬が広範に使われる現代になって、双極性障害と診断される人が多発するようになりました。

 双極性障害と診断された人が自分の経験について語るのを聞いていると判ります。初めから双極性障害と診断された人は誰もいないのです。初めはうつ病と診断され、抗うつ薬を処方されて、それを飲んでいるうちに「躁」に転じているのです。「躁」状態や「双極性」状態になったのは、抗うつ薬の影響で、抗うつ薬の副作用としてそうなったのです。これも精神科医や製薬会社の常套手段です。薬の副作用で何か異変があっても、それを副作用の結果であるとは認めずに、本人にもとからあった疾患だと主張するのです。


抗うつ薬と賦活症候群

 賦活症候群という言葉も英語のactivation syndromeの訳語です。SSRI(Selective Selotonin Reuptake Inhibitor)と呼ばれる抗うつ薬が使われ始めてからよく聞くようになった言葉です。抗うつ薬を服用すると、脳の中枢神経を刺激し、中枢神経が何らかの興奮状態に陥るのだろうと想像できますが、詳しいことは精神科医もその薬を開発した製薬会社の研究者も誰にもわかりません(真実2)。それで説明に窮して、誰かがこれを賦活症候群と呼ぶことにしようと考えて、その名前が残って今も使われているに過ぎません。ベンゾジアゼピンの逆説的反応あるいは奇異反応の場合とよく似ています。真実2は絶えず真実です。

 抗うつ薬を飲むと服用者の心がどのように変わるのか、第三者には判りません。唯一第三者に判る事は服用者の外に現れた行動です。服用者の身近で暮らしている人は行動の変化に気が付くでしょう。たまに、しかも数分間診察室でしか患者にに会わない精神科医は、患者の心の中の変化どころか、行動の微妙な変化さえも気が付かないことが多いでしょう。抗うつ薬を飲んでいる患者が自殺したり、暴力的な反社会的行動に出ても、精神科医はただ、「驚いたな!」と言うしかないのです。

 
 抗うつ薬を飲んでいて、自傷他傷などの異常行動が現れたら、それは薬の副作用と考えるが一番蓋然性が高い推論ですが、真実1及び真実2によって、心の中の事は本人しか判らないので、薬のせいかどうか100%確実には言えないという理由で、裁判所も製薬会社の責任を問いません。疑わしきは罰せずという法の原則があるからです。

 賦活症候群という副作用があることまで認めたのなら、その副作用の追跡調査を製薬会社は徹底的にやるべきなのですが、そこまではやりません。追跡調査をやって、製薬会社に不利な結果が出たら、製薬会社は副作用の責任を負わされることになるからです。危険な副作用が頻繁にあることを知りながら、薬を売り続け、犠牲者がたくさん出たとすれば、製薬会社の責任を社会は問うでしょう。副作用の頻度は判らないとしておいた方が製薬会社にとっては有利なのです。重大な副作用が頻繁にあることを知りながら、それを世間に隠していたということになれば、法がそれを黙って見ている訳にはいかないでしょう。

 製薬会社は世界で生き延びるために、副作用について「見ざる、聞かざる、言わざる」戦略を取っています。まず副作用は「見ない」ようにします。見てしまったのに、それを世間に伝えなければ、副作用を隠蔽したと世間から批判されるでしょう。ですから厳密で、長期に渡る臨床試験によって副作用を研究するというようなことは絶対にやりません。後になって何か重大な副作用が発見されても、ああそれについては知りませんでしたといえば、それで法のもとでは通ってしまうのです。「聞かざる」は「見ざる」と同じで、耳を塞いで副作用の話を聞かなければ、副作用を知っていたのに言わなかったと糾弾されることはありません。 「言わざる」はもちろん極秘情報として重大な副作用について知っても、言わないでも済む限りは、口が裂けても口外はしないということです。

 資本主義社会にあって、製薬会社は売り上げを伸ばし、利益を拡大し、生き延びて行くためには、持てる知恵をフル回転させて、あらゆる手練手管を使って事業を遂行して行きます。従って製薬会社にやり放題を許せば、社会に極めて有害なことが起こってしまうのは必定です。その民間企業のやり放題をチェックし、社会に害をもたらさないようにするのが政府の役割なのですが、残念な事に日本では政府のその役割が弱いのです。厚労省は薬のリスクから国民を守るのが重要な任務の一つの筈ですが、同時にまた製薬業の振興にも努力しています。二足のわらじを履いているのです。明らかに利益相反なのですが、日本国民は利益相反について鈍感です。

 という訳で、副作用の研究を深めることを製薬会社も政府機関もやってくれません。これは海外でも同様の事が多かれ少なかれ言えます。その中にあって、SSRIなどの精神薬の副作用によって自ら苦しんだり、家族を自殺によって亡くしたアメリカの3人の母親グループがもともと初め、今はイギリス・ウエールズ大学の精神科医デービッド・ヒーリーが全面的にサポートして存続している以下のウェブサイトが大いに参考になります。6000件以上に渡るSSRIなどの精神薬の副作用によって現れたと考えられる自殺・他殺などの異常行動事件についてのニュース記事を丹念に集めたもので、ごく最近の事件までカバーされています。アメリカでの商品名によるものですが、薬の名前でも事件を検索できるようになっています。但し、デービッド・ヒーリーはSSRIについての思い入れが強く、日本で大問題のベンゾジアゼピンについての認識が十分ではなく、ベンゾジアゼピン系の薬は検索リストにある薬名には入っていません。製薬会社もやらない政府もやらない科学的な長期臨床試験の一つとしてこれは位置付けられます。

   SSRI Stories
   余りにも膨大な量の情報なので、日本語訳はありません。

 日本では何か事件があって、精神薬の服用者が関与するものであった場合にも、使われていた薬の名前を警察は絶対に記者発表しません。睡眠薬とか安定剤であるとか言ってお茶を濁す程度の事はありますが、さらに進んで具体的に薬の商品名、一般名までは発表しません。恐らくは中央の警察庁がそう言った方針を決めて、末端の警察署にまでその方針が流れて来ていてこうなっていることと思います。警察が記者発表しない限り、メディアだけの取材で薬の名前まで知ることは不可能です。日本の新聞には使われていた薬の名前まで載ることはありません。ですからアメリカの上記SSRI Storiesのようなウエブサイトを日本で作る事は不可能です。

 日本では国民に危険な医薬品についての真実が伝わらないようになっているのです。覚せい剤等の麻薬であれば警察は仔細に渡って記者発表します。人に売って金儲けするためではなく、個人で消費するだけのごく少量を持っていただけでも大騒ぎします。ところが医薬品の場合には、警察は鳴りをひそめています。麻薬よりも医薬品の方が余程危険なのですが、警察の間違った思い込みで、危険な医薬品の名前が表に出て来ないのです。このサイトのこの後に出てくる「人類史上最大の薬害」の節を読めば、麻薬よりも医薬品の方が余程危険なことが判ります。警察には、医薬品の名前を出すと製薬会社が嫌がるのではないかという配慮もあります。問題となる薬を患者が飲んでくれなくなるから困るという医者からの苦情も予想されます。製薬会社や医者の方ばかり見ているからわざわいを社会にもたらしているのです。国民が真実を知れば、危険な薬は皆の飲まなくなって、危険な薬は自然に淘汰されます。人類の進歩がそこにこそあるのです。


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