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(注)
番組に登場した上條吉人医師が自己紹介する記事が北里大学病院のウェブ・サイトで閲覧できます。2015年7月16日にダウンロード。
  科学警察研究所と日本法医学学会のデータからわかること

 九州大学大学院医学研究院の法医学分野の研究者のグループが大変興味深いかつ重大な意味を持つ論文を発表しています。日本法中毒学会(Japanese Association of Forensic Toxicology)の機関誌である「Forensic Toxicology」(日本語訳:法医中毒学)に2010年に発表されたものです。年2回発行の機関誌ですが、平成18年以来、論文はすべて英文となったため、以下の同論文からの日本語での引用はすべて英語の原文を日本語に翻訳したものになります。最近は日本の学会の中には、国際化の一環として英語で機関誌を出すところがでてきました。  論文のタイトルは「Pattern of poisoning in Japan: selection of drugs and poisons for systematic toxicological analysis」(日本に於ける中毒死のパターン:システムによる毒物分析のための薬物と毒物の選択)です。科学警察研究所(National Research Institute of Police Science)及び日本法医学会(Japanese Society of Legal Medicine)がそれぞれ作成した2つの報告書に盛られた、日本の中毒死のデータをこの論文は取り上げ論じています。

  "Patterns of poisoning in Japan: selection of drugs and poisons for systematic
  toxicological analysis"(日本に於ける中毒死のパターン:システムによる毒物分析のための
  薬物及び毒物の選択)

   日本語訳

 中毒死データの盛られた科学警察研究所の年次報告書をこの英文の論文ではReport Aと呼んでおり、日本法医学会の年次報告書をReport Bと呼んでいます。

 日本語で書かれた元のReport AReport Bも一般には公開されておらず、私はReport A及びReport Bそのものは入手することができませんでした

 Report Aは各都道府県の警察本部に置かれた科学捜査研究所(科捜研)が集めた薬物中毒死に関するデータを、科学警察研究所(科警研)が集めて全国集計した年次報告書です。科警研の広報に問い合わせたところ、科警研はこの報告書を日本語では「薬物による中毒事故等の発生状況」と呼んでいるそうです。

 司法解剖は多くの大学の法医学教室や東京、大阪、神戸3ヵ所にある監察医務院で行われていますが、解剖から得られた中毒死事例に関する情報(年齢、性別、死因、解剖により検出された薬物等)を集めて日本法医学会が年次報告書にまとめたものを本論文ではReport Bと呼んでいます。

 Report Aには解剖されなかった事例も含まれるために、Report Aに現れた中毒死の件数のほうがReport Bに現れた中毒死件数よりも多くなっています。

 ガス・クロマトグラフィー質量分析法を用いた薬物スクリーニング・システムで使うソフトウェア開発のために、中毒死における薬物・毒物の使用頻度を明らかにする必要があったため、中毒死事例のデータを集めて、こういった研究を行ったと論文は述べています。全国の中毒死事例で検出される毒性薬物や毒物の使用頻度を示す初めての研究であるとも論文は述べています。

 自殺と思われる事例は解剖されることは少ないので、解剖された事例のみを集めたReport Bの事例にはReport Aと比べて自殺例は少ないと思われます。Report BではReport Aでは出現頻度の少なかったアルコール(Ethanol)が第1位にランクされています。(Table 3(表3), Table 4(表4)参照)。

 しかしReport Aの科警研のデータには一酸化炭素(carbon monoxide)(練炭ガスや車の排出ガスからの一酸化炭素による自殺で検出される)、パラコート(Paraquat)、ジクワット(Diquat)といった農薬(農薬による自殺は日本では40~50年前には非常に多かったようです。今でも農村の多い中国では農薬は自殺の中心的手段)が使われた中毒死の頻度が高いことを見ても、Report Aの中毒死の中には自殺例が相当数含まれていると推定できます。

 論文にあるTable 5(表5)を見ると、中毒死事例において各薬物が検出された件数、すなわち使用頻度を知ることができます。この表ではReport A及びReport Bに現れた薬物の検出件数両方が書いてありますが、Report Aに現れた検出件数に基づいて、薬物が1位から順位付けて書いてあります。

 Report Aの方が自殺事例が多く含まれている筈なので、Report Aに基づく順位付けにここでは特に注目します。特に注目すべきは医薬品(medical drugs)のグループです。医薬品のグループには170の具体的な個別医薬品の一般名(ジェネリック・ネーム)が挙がっています。

 ここではTable 5 (表5)の中から医薬品(medical drugs)の部分のみを抜き出した表を作って見てみました。元の表でも、薬物検査で検出された170の医薬品を、Report Aで検出頻度の多かった順に並べてあります。尚、検出件数(使用頻度)は2003年~2006年の合計数字です。

 Table 5 (表5)の中から医薬品(medical drugs)の部分のみを抜き出した表

 順位1~3位にあるのはクロルプロマジン(chlorpromazine,プロメタジン (promethazine,フェノバルビタール(phenobarbital)の3剤ですが、いずれも睡眠薬合剤ベゲタミン-A及びベゲタミン-Bの成分です.

 4位が世界最強のベンゾジアゼピン系睡眠薬のフルニトラゼパム(flunitrazepam)で、その次、5位のレボメプロマジン(levomepromazine)は定型抗精神病薬です。薬の一般名の綴りの最後にpamlamが付くのはベンゾジアゼピンである場合が多いのですが、6~9位のエチゾラム(etizolam, トリアゾラム(triazolam)(商品名:ハルシオン)、ニトラゼパム(nitrazepam,ブロチゾラム(brotizolam)は皆ベンゾジアゼピン系の抗不安薬や睡眠薬です。10位のzolpidenは非ベンゾジアゼピン系であると言われていますが、ベンゾジアゼピンと類似の薬効を持つ睡眠薬です。11位のbromazepamはベンゾジアゼピンの抗不安薬です。悪いのはベンゾジアゼピンだけではありません。ビペリデン(biperiden)という抗パーキンソン薬で抗精神病薬の副作用止めの薬が第13位に入っています。抗精神病薬では5位のレボメプロマジンの後、22位にリスペリドン(risperidone)、27位にスルピリド(sulpride),28位にハロペリドール(haloperidol)が入っています。 抗うつ薬では14位にパロキセチン(paroxetine)、19位にフルボキサミン(fluvoxamine)、23位にアミトリプチリン(amytriptyline)、31位にトラゾドン(trazodone)がリストに入っています。

 私の婚約者が自殺前に処方を受けていた6種類の薬はすべてこの170剤のリストに入っており、しかもリストの上位の方に皆入っています。またベンゾジアゼピン系薬剤がReport Aに現れた種類数で見ても極めて多いという事がわかります。欧米の人達(特にヨーロッパ)が日本と比べあれだけベンゾジアゼピンの扱いに慎重なのは決してゆえなき事ではないのです。

 因みに、Table 3(表3)Report Aから得られた全中毒薬物(医薬品のみならず、一酸化炭素(carbon monoxide)、農薬のパラコート(paraquat)やジクワット(diquat)を含む)の検出頻度に基づく上位22位までの順位付けであり、Table 4(表4)Report Bから得られた全中毒薬物(アルコール(ethanol)一酸化炭素(carbon monoxide)、医薬品を含む)の検出頻度に基づく上位22位までの順位付けです。 (本文にあるTable 3(表3)とTable 4(表4))を参照下さい)

 自殺によく使われる農薬のパラコート(paraquat)やジクワット(diquatReport A Table 3(表3))では第2位、第3位であるのに対して、Report B Table 4(表4))では上位22位には入っておらず、Table 5(表5の農薬(Pesticide)のグループのReport Bの欄を見ると、パラコートparaquatは7件、ジクワットdiquatは3件しか挙がっていません。Report Bは解剖された事例であり、自殺者は普通解剖されないからです。逆にReport Aでパラコートやジクワットが多いということは、農薬のパラコートやジクワットは日本で今でも自殺の手段としてよく使われているであろう事を裏付けています。Report Aには相当な数の自殺例が含まれているだろうことがここからも推定できます。

 因みに、医薬品と比べて乱用薬物(Abused drugs=麻薬)のグループにある薬物も興味深い事です。メタンフェタミン(Methamphetaminn)やアンフェタミン(Amphetamine)などの覚せい剤類が検出された件数がやや多いですが、その他の麻薬類は極めて少なく、心配しなくてはならない件数に達していません。他国と比べて、麻薬について敏感な世論やマスコミの報道、また日本の警察の厳しい麻薬取り締まりが効を奏していると言えます。

 反対に医師の裁量権や処方権を理由に、取り締まりも余りなく野放図になっているのが精神治療薬分野です。世論もマスコミも充分情報を与えられておらず、啓蒙されていません。Table 5(表5)に於いて医薬品、なかんずく精神治療薬の多さに驚かせられます。精神治療薬の方が覚醒剤等の麻薬よりも余程危険な薬物である事が判ります。

 注意しなくてはいけないのは、上位にランクされているのはベンゾジアゼピンが多いからと言って、ベンゾジアゼピンそのものが多くの場合中毒死の直接の死因になったとは言えないことです。ベンゾジアゼピンだけの大量服用ではなかなか致死量には達しないからです。それまでよく使われていたバルビツール酸系睡眠薬よりもベンゾジアゼピンは安全である。大量服用しても死ぬことはないと製薬会社が盛んに宣伝して、ベンゾジアゼピンは世間に普及していったのです。

 以下の医師向けの専門書にも、ベンゾジアゼピンを単独で飲んでも死ぬことは滅多にないとの説明があります。この書は「工業用品」、「ガス」、「農薬」、「医薬品」、「動植物」(例えばフグ毒)、「初期治療」という題の6章から成っていますが、「医薬品」の章の第一番目にベンゾジアゼピンを挙げて解説しています。

 「中毒百科 事例・病態・治療 改訂第2版」 筑波大学名誉教授 内藤裕史著  南江堂 2002年   p.328~338

 以前ネットで私が見つけた記事ですが、武蔵野赤十字病院救命救急センター長の須崎伸一郎がベンゾジアゼピンをかなり大量にのんでも死亡にはまず遭遇しないと述べています。

 「ベンゾジアゼピン系薬剤の中毒致死性」日本薬事新報 1999年9月25  

 従ってReport Aの中毒死事例では、ベンゾジアゼピンが直接の死因になったというよりも、ベンゾジアゼピン以外で併用摂取したその他の薬物、例えば一酸化炭素(carbon monoxide)、農薬のパラコート(paraquat)やジクワット(diquat)等が直接の死因になったと考えられます。これらの物質の方が、ベンゾジアゼピンと比べてずっと致死性が高いからです。


 ベンゾジアゼピンを服用することによって抑うつ感がが強まり、死にたくなって、その結果一酸化炭素や農薬を摂取することによって死を企てるという事態の流れがあったのです。

 Table 1 (表1)を以下もう一度見てみます。

    

 Report Aでは年間の中毒死の件数、Report Bでは年間の解剖件数が表示されています。
中毒死の場合には、中毒死を疑って薬毒物検査を行って、中毒死であると判定した訳ですが、
中毒死を疑わなかったために薬毒物検査を行わなかった死体が、これ以外にたくさんあった筈です。

 内閣府の「自殺対策白書 平成26年版」にある手段別の自殺者の割合を見ても、服毒自殺者の割合は全体の中で極めて低いことがわかります。有機溶剤、練炭、排ガス、その他のガスによる自殺者もまた比率は高くありません。首つり、飛降り、飛込み等の自殺者については薬毒物検査が行われていませんが、若し薬毒物検査をやっていれば、多大な医薬品の検出があったことでしょう。日本の自殺者の9割が精神科やその他の医療を受けていたのですから、これら自殺者は皆何らかの医薬品を服用していたであろうことは疑いを入れません。

 Table 1(表1)にあるReport Aから取った中毒死の件数は2003年~2006年の期間で毎年おおよそ4、800~6000件の間で推移しています。それ以外は薬毒物検査はやっていないことになります。警察庁刑事局が公表しているデータでは、毎年、日本には約15万人の「その他の異常死体」が発生しているのです。 (注:「異状死」、「異状死体」と書くこともあります)

 中毒死者や服薬自殺者が服用していた薬を調べただけでは真相全体は判りません。自殺手段を問わず、全ての自殺者の服用していた薬を洗い出す必要があります。カルテやレセプトの電子化が進んで来た現代では技術的にそれが可能です。コストも余り大きなものにはならないでしょう。効果の程は怪しい自殺対策に内閣府や厚生労働省が今使っている予算を回せばそれで十分ではないでしょうか。

 これに抵抗する勢力があるとすればそれは精神科医やその他の医師と製薬会社です。彼らは何だかんだの理由をつけて抵抗し、最後までそう言った動きを封じ込めようとするでしょう。従って法的に拘束力を持つ措置によってやらない限り、これはできません。自分の診察していた患者に自殺者が出た場合には、それまでの薬の処方情報を有無を言わせず強制的に提出させるのです。拒否した場合には罰則や罰金を課すことにすればいいのです。そのためには新しい法律を作る必要もあるでしょう。それだけで日本の自殺者は大幅に減ることになるでしょう。無謀で無責任な処方はしてはならないという社会的プレッシャーが精神科医に働くからです。

 実は自殺者の服薬情報が集められていないのは日本だけのことではありません。世界中どの国でも同じことが言えるのです。自殺者の服用していた薬についての情報はどの国の政府も収集したり、公表していないのです。どこの国でも医師と製薬会社はその社会での力学構造上、力を持っています。日本がそういったことをする第一番目の国になるチャンスです。そのためには精神科や医師、製薬会社を相手にして、彼らの反対を押し切る勇気と強い意志を持ったリーダーが日本で現れることが待望されます。成功すれば日本は世界で尊敬される国になるでしょう。何よりも日本の自殺率が大幅に下がることに繋がるのです。

 さらに一歩進めて、自殺と公認された事例だけではなく、年間15万人の異状死体の毒薬物検査を行うべきです。解剖医の不足により、全異状死体の解剖は難しいとしても、異状死体の毒薬物検査はそれ程大きな負担やコストにならず出来る筈です。異状死の中には極めて多くの自殺死が含まれていることが想像できます。

 「法医病理」」という法医学の専門誌に載った、薬毒物関連死についての論文を以下に見て下さい。自殺かどうか判定できず、「異状死」の範疇に属する薬毒物関連死の事例がいくつか挙げてあります。医薬品と言っても、実際は精神科治療薬ばかりがからんでいます。

 「薬毒物関連死:医薬品」  法医病理 Vol.15, pp21-36 2009  

 進化論を信じるのであれば、人類が地球上に出現してから今まで数百万年の間に、人類は精神治療薬など使わずにやって来ました。精神治療薬などいらなかったのです。20世紀に入ってから精神治療薬が発明され使われるようになったのですから、人類の長い歴史の流れの中では極々最近のことなのです。精神治療薬は人間を救うどころか、人間を不幸にしています。精神治療薬は主として20世紀になって人類が発明し、使い始めた史上最大で最悪の危険物なのです。

 広島市のホームページによると、広島に原爆が投下されてから1945年までの5年間の死者数は14万人だそうです。 2013年(平成25年)の日本の自殺者数は約2万7千人、同年の日本の異状死者数は約15万人でその内の極めて多くが自殺者であると推定できます。毎年原爆1個が日本に投下されているのと同じことです。1年だけの話ではありません。毎年これが日本で繰り返されているのです。

 これは日本だけの話ではありません。WHO(世界保健機関)がWHOの加盟国から集めたデータを集計すると、世界の自殺者は毎年80万人を超えるとWHOは報告しています。日本では自殺者の9割は何らかの精神治療薬を飲んでいたのですから、他の国でも少なく見積もっても自殺者の半数以上は何らかの精神治療薬を飲んでいたことでしょう。世界で毎年数十万人の人が、精神治療薬の犠牲になっているのです。

 薬害事件というと1960年代にあったサリドマイド事件が有名です。この事件の結果、薬の副作用に対する世界の関心が高まり、主要国で薬の法規制が強化されました。 サリドマイドももともと睡眠鎮静薬として販売された薬でした。生まれて来る子供に奇形が生じるということで、世界中で大騒ぎになりましたが、それでも被害者の数は全世界あわせても数千人のオーダーです。新生児の奇形ということで、明らかにそれは薬の副作用であることを誰が見ても判定できました。ところが精神治療薬の場合には、副作用の内でも目に見えない精神神経的副作用は、服用者本人以外の人が見ても簡単には判定できないのです。本人さえそれが薬の副作用であることに気が付かないことが多いと言えます。 

 精神治療薬による副作用被害は、人類史上類を見ない、人類にとって最大で最悪の薬害事件なのです。

過量服用(OD-Overdose)の実態

 2010年10月18日(再放送12月15日)にNHK教育テレビで過量服用について大変興味深く、かつ参考になる番組が放送されました。題名は「広がる”処方薬”乱用~問われる精神科医療~」というものです。NHKアーカイブスに保管されており、インターネットで今でも視聴できる筈なのですが、NHKに問い合わせたところ、NHKオンデマンド、NHKアーカイブス、公開ライブラリー等でも現在視聴できないようになっているとの答えが返ってきました。そこで止むを得ず、私が録画しておいたものをこのサイトで読者の方々に以下見て頂けるようにしました。世の中の人全員が見て、何が医療現場で起こっているか知れば、より良い日本にするための力になると思います。

    この番組のmp4ファイル(30分) ← ここをクリックすると番組録画が見られます。
                           (ダウンロードするのに若干時間がかかります。)

 この番組の中でODに使われた薬の名前がことごとく画面上ぼやかしてあったり、付箋が貼ってあって見えないようにしてあるので何故かとNHKに問い合わせると、この番組のチーフ・プロデューサーから返答がありました。

 このチーフ・プロデューサーも間違った思い込みを前提として物をを考えています。真実3にあるように薬自体は安全で効果のあるものであるとの間違った思い込みです。多くの種類を飲むからいけないのであって、単剤で飲めば問題はないと考えているようです。また多くの精神科医や一般の人が持つ誤った思い込みですが、過量服用は本人が悪いのであって、意志を強く持てばODなどしないで済むという見方です。薬の依存や耐性という点について全く考えが及んでいません。これらの薬は麻薬と同じなのです。長く飲めば飲むほど止めることが極めて難しくなります。自分の意志でどうのこうの言えるものではないのです。しかもこういった麻薬を医師が処方しているのです。

 WHOが「使用された自殺手段の詳細を報道しない」と勧告しているので、薬の名前は伏せたとチーフ・プロデューサーは言っていますが、これはWHOの勧告の拡大解釈です。精神科医による入れ知恵臭いです。薬の名前を報道するなとはWHOは言っていません。WHOが言っているのは、そう言った(自殺)手段へのアクセスを制限することは人々が自殺によって死ぬのを防止する助けになる(limiting access to these means can help prevent people dying by suicide)と言っているのです。2014年に刊行されたWHOの自殺予防についての報告書(92頁)でも、過量服薬で検出された医薬品や処方箋薬について報道するななどとは言っていません。尚、この報告書は日本を含む多くの国の、主として自殺学を専門とする精神科医が集まって共同執筆したものと思われ、自殺と医薬品との関係については一切触れていません。

 このNHKの番組で過量服用されているのは皆、処方箋薬ですから、一般の人がそういった薬にアクセスできるのは医師の処方箋を通じてしかありません。アクセスを制限するとは、まず第一に、医師がそういった危険な薬を処方しないということです。第二に国民が、何が危険な薬かを知れば、医師からそう言った危険な薬を投与されるのを拒否することになるでしょう。薬の名前を知らせると、皆、真似をして同じ薬を飲んで死のうとするからよくないというのは転倒したロジックです。本サイトを読んで頂ければ判るように、これらの薬、特にベンゾジアゼピン系の薬は、それ自体に致死性があるから危険であるのではなくて、これらの薬を継続的に飲むと依存性と耐性が生まれ、服用量も徐々に増えて行き、抑うつが高まり、死にたくなってしまうということと、逆説的反応の可能性があるために危険なのです。

 論点を繰り返すことになりますが、自殺の手段として使われた薬の名前を公表しなければ、同じ薬を飲んで自殺しようとする人が減るという推論は正しくありません。そういった薬を普段から大量に飲んでいるからこそ(依存)、死にたくなるのです。希死念慮が生まれるのです。従って薬の名前を公表することは何ら自殺の増加につながりません。そういった薬は危険である(希死念慮を生じさせる)という情報を世間に広める方が、却って自殺の減少につながるのです。患者の家族がそういった薬の危険性を知っていれば患者自身に忠告することもできるでしょう。しかも
そういった薬は、なくても社会は困らないような薬ばかりです。何と言っても、そういった薬を選択、処方して患者に飲ませているのは医師なのですから。

 WHOの勧告の裏にある考え方は、手段について報道すると、同じ手段を使って自殺する人が増えるからという理由からだと思いますが、本当に死にたくなった人は、いい自殺手段を思いつかないから、あるいは、ある自殺手段が入手困難だから、自殺するのをやめておこうとは考えません。とにかく死にたくなってしまうのです。(ほとんどの場合薬の影響で)。ある自殺手段が手に入らなければ、何かしらの別の自殺手段を見つけて来て、自殺を完遂しようとするのです。世界の精神科医が集まって書いたと思われる2014年のWHOの自殺予防のついての報告書はこの点で誤っています。精神科医は、真実1真実2によって、人の心の中を見ることは出来ないのですから、何人世界の精神科医が集まっていようが、彼らの憶測でものを言っているに過ぎません。

 このテレビ番組の最後の部分で、精神科医の野村総一郎がインタービューを受けていますが、彼のアナウンサーの質問に対する返答は、聞く人を煙に巻き、本質をはぐらかすものばかりです。薬の名前は画面に出さない方が良いとチーフ・プロデューサーにアドバイスした精神科医とは野村総一郎のことでしょうか。こういった薬の危険さに世の中の人が気が付けば、そういった薬を処方する精神科医への批判攻撃が増えます。こういった薬を処方できなくなるので、精神科医としては困るという訳です。

 ODで使われていた薬の名前が隠されていて判りませんでしたが、若しも隠されていなかったとすれば、そこに書いてあったであろう薬の名前は簡単に想像できますね。この節の初めの部分に書いたReport Aに載っているような薬、すなわち科学警察研究所の「薬物による中毒事故等の発生状況」と題する報告書に高い検出頻度で出て来る薬であった筈です。科警研といいNHKといい情報を握っている機関の隠蔽体質が日本にわざわいをもたらしています。国民が真実を知らされなければ、その国は呪われた国になります。そんな国に良き未来はありません。
大本営発表しか知らなかった戦前の日本国民と同じになるでしょう。

 ここでもう一つ、上に挙げた番組よりも2か月早い、2010年8月28日に、NHK教育テレビで放送された2時間の番組、「ETワイド ともに生きる『薬物依存』」の興味深い部分だけを取り出して以下ご覧ください。こちらは上の番組とプロデューサーが違うためか、野村総一郎という精神科医の忠告がなかったせいか理由はわかりませんが、過量服用で使われた薬の名前が隠さず出てきています。案の定ベンゾジアゼピン系の薬が多いですね。患者の症状が悪化したので薬の数を増やしたというのは精神科医には極めてよくある言い訳ですが、許すことのできない言い訳です。日本の大学医学部では何を教えているのでしょうか? 医師の国家試験では薬理学の基礎知識をテストしないのでしょうか? この精神科医は薬には副作用は何もないとでも思っているのでしょうか?

   mp4ファイル「薬物依存」(5分半))← ここをクリックすると番組が見られます


 もう一つ、2010年11月27日に、やはりNHK教育テレビで放送された「追跡! A to Z」(30分)の内、過量服用に関する部分だけを抜き出したものを以下にご覧下さい。番組の中で出て来る、武蔵野赤十字病院救命救急センター長の須崎紳一郎医師のベンゾジアゼピンについての見解は本節で既に取り上げています。

   mp4ファイル「追跡AtoZ」(1分)← ここをクリックすると番組が見られます


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