精神科の真実     


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真実2   薬を飲むと、薬の作用で患者の心にどんな変化が起き、患者がそれをどう感じているのか精神科医はわからない。
    間違った思い込み2
薬を飲むと、薬の作用によって患者の心がどう変化し、患者がそれをどう感じているのか精神科医はわかっている。

医者は自分では薬を飲んだことがない

 かつて私が診察を受けていた、あるメンタルクリニックの精神科医師に、診察中に尋ねたことがあります。私は当時ベンゾジアゼピン系の抗不安薬であるワイパックス(一般名:lorazepam)をそれまでに6ヵ月程度服用していました。一日3回服用でしたが、1回服用後、数時間経つと、何とも言葉では説明し難い、不安感、焦燥感としか言いようのないような感覚、感情が現れてきていました。この感覚は、この薬を飲んだ人にしかわからないのではないかと思い、その医師にあなたはこの薬を飲んだことがあるか聞いたところ、彼の答えは「試しに一度だけ飲んでみたことがある」というものでした。

 これで私は真実2(薬を飲むと、薬の作用で患者の心にどんな変化が起き、患者の心がどんな状態になるのか精神科医はわからない)に気が付きました。真実1(精神科医といえども患者の心の中を見通し、患者の心の中の状態を知ることはできない)が正しければ、論理的に言って真実2も正しくなくてはならないのですが、薬を出す医者は、薬の患者への作用をよく知っていて薬をだすものと漠然とそれまで思い込んでいたのです。ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は一般に3ヵ月を過ぎたころから依存が現れ、薬をやめようとすると離脱症状が現れるので薬をやめるのは極めて困難になります。ただ試しに1回1錠飲んだだけではそういった薬の作用について何もわからないでしょう。

 医師だけではなく、精神治療薬を開発、製造販売している製薬会社の研究者も、薬を自ら飲んだことはないので、それらの薬が人間の心にどう働くか、身をもって体験していません。これが精神治療薬(向精神薬とも呼ばれる)の最もこわいところです。外から第三者でも観察できる、薬の身体的な副作用については新薬承認のための臨床試験の時に - 第3相臨床試験は4~8週間程度の短期間が普通です - 不充分ながらある程度の情報は得られます。しかし薬の精神的な作用、副作用については医師も研究者も本当のことは何もわからないのです。

 主として統合失調症の治療薬として古くから広く使われてきたハロペリドールという抗精神病薬があります。ハロペリドール(haloperidol)というのは一般名で、日本ではセレネース(大日本住友製薬)、リントン(田辺三菱製薬/吉富薬品)、ハロステン(高田製薬)などのブランド名(商品名)で売られています。特許は大分前に切れているので、ジェネリック医薬品も販売されていて、ジェネリック製品は一般名であるハロペリドールを商品名に使っているものもあります。

  ハロペリドールは抗精神病薬のもっとも標準的なものと考えられていて、その後開発された抗精神病薬の新薬承認のための臨床試験でも対照薬(comparator drug)としてハロペリドールは使われ、新薬の薬効がハロペリドールと比べて同等がそれ以上であれば政府の承認が下りるという、いわば抗精神病薬のゴールド・スタンダードといった位置づけの薬です。

 そのハロペリドールを実際に自分でも服用してみたという二人のイスラエルの研究者が服用後の感想を1977年8月のThe British Journal of Psychiatryの読者投書欄に投書しています。1977年というのはハロペリドールが発売され、世界中で使われ始めたばかりの頃です。患者ではない医師や研究者が自ら精神治療薬を服用し、その感想を公の場で陳述している例はこれ以外私は知りません。インターネット上の情報量は莫大なものがあり、一人の人間でリサーチできる事には限りがありますので、このサイトの読者の中で、医師や研究者が自ら向精神薬を飲んで、その感想を述べた文献をご存じの方がいたら是非教えて頂きたいと思っています。この投書には薬を服用した人の偽らざる感想が書かれていると思われますが、同様の文献は今のところみつかりません。ここには飲んだ人にしかわからない、抗精神病薬や向精神薬について重大な真実が描かれていると思います。原文は英文ですので、以下その日本語訳を掲載します。尚、下線は訳者である私がつけたものです。


               健常人におけるハロペリドール

 ハロペリドールは効果のある抗精神病薬であって、脳内におけるドーパミンの伝達を比較的特異性をもって遮断する。(Anden等、1970年) 感情障害にもドーパミン・メカニズムが関与している可能性を探る研究のための予備試験の一環として、我々二人の著者は、各人それぞれ5mgのハロペリドールを2分間の静脈内投与によって摂取した。その効果は著しく、効果は我々二人とも類似したものであった。10分以内に、思考と動きの著しい鈍化が現れ、同時にまた心の落ち着きのなさも現れた。二人とも作業継続ができなくなり、二人とも36時間以上仕事を離れた。二人ともやる気の麻痺と身体的及び精神的なエネルギーの欠如を覚えた。被験者である我々は、、ものを読むことも、電話することも、家事をすることも、自らの意志ではできなかった。やれと命令された場合にのみ、これらのことをなんとかやることができた。眠気や鎮静化はなかったが、逆に二人とも痛烈な不安焦燥感に襲われた
 この経験は、これまでも報告されている神経遮断薬(抗精神病薬)の健常人に対する効果と似通っている。(DiMascio等、1963年; Heninger等、1965年) 但し、これまでの研究はドーパミンとノルアドレナィン両者の受容体を遮断する神経遮断薬を使っていた。(Anden等、1970年) 我々の場合には比較的ドーパミン特異性が高いドーパミン・ブロッカーであるハロペリドールを使ったところ、甚大な認知上のまた感情上の制約を経験した。神経遮断薬(抗精神病薬)によってドーパミンをブロックすることは統合失調症者のみならず健常人の認知・感情プロセスを制約することになるのかも知れない。従って、ハロペリドールは統合失調症の病理に特異的に対抗するものにはならない可能性がある。サイコティック(psychotic)な不安や妄想であれば、そういった認知上または感情上の制約は好ましいもので、また治療的であるかも知れない。しかしながら制約的な効果は全般的なものかも知れないし、統合失調症のみならず躁状態にも確かに有効である。(Shopsin等、1975年) 以上に述べた病態と激越性うつや精神病後うつの病態との類似性からみて、ドーパミンが統合失調症だけでなく(Snyder等、1974年) これらの)病態に関与しているということが示唆される。(Post等、1976年; Gerner等、1976年)。

ROBERT H. BELMAKER
DAVID WALD

エルサレム・メンタル・ヘルス・センター
研究部
POB 140 イスラエル国エルサレム  
                          
                      
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 健常人であろうと、精神障害者でろうと同じ人間。脳の作りに大きな違いはありません。精神障害者にハロペリドールを同じ量投与すれば 同じ反応が精神障害者にも現れて当然です。精神障害者の脳の作りは健常人とは違うので、ハロペリドールを投与しても同じ反応は現れないなどという人がいるとすれば、それは非科学的な偏見以外の何物でもありません。患者が不穏で暴力的になった時の一時的な使用は許されるとしても、長期に渡るハロペリドールやその他の抗精神病薬の使用は患者の人生を台無しにするものです。ここに報告された例は単回投与の例です。これを継続的に長期に渡って服用したら患者にとっての被害は甚大です。長期に渡る抗精神病薬の投与は、極めて残酷で、非人間的で、非倫理的な措置であると言わざるをえません。また患者が不穏で暴力的になったとしたら、それは治療は何もせず、自然に不穏で暴力的になったりというよりは、ほとんどの場合、不穏で暴力的になる前から、各種の向精神薬を服用していたことがその原因である場合が圧倒的に多いのです。(真実6

 私の自殺した婚約者がかかっていた町のメンタルクリニックの精神科医に、彼女の自殺後に診察で会った時に聞いてみたことがあります。「あなたの家族が若し患者だったら、彼女に出していた薬と同じものを同じ量、あなたの家族にも処方しますか?」彼の答えは、「そりゃあ、他人である患者と家族とは違うよ。」 自分どころか自分の家族にも投与しないような薬を、他人である患者には平気で処方するのです。人間として、医師としての倫理観はどこに消えたのでしょうか?精神科の薬が危険であることをこの精神科医は知っているようです。

 真実2の問題をさらに難しくしているのは、当事者とか患者と呼ばれる、薬を飲んだ人自身が、有害な精神症状や身体症状が出ても、それは薬の影響でそうなったということに気が付かないことも多いということです。ある薬を飲み始めたあとで、そういった精神症状や身体症状が現れたということであれば、その原因として疑われるべきは、その飲み始めた薬です。

リカバリー・社会復帰という名の幻想

 日本経済新聞に載ったある記事を以下ご覧ください。厚生労働省のある研究班が2009年(平成21年)にまとめた推計によると、仕事に就かず施設にも通っていないなど社会的に孤立している精神病患者が全国で最大約55万人に上るとのことです。実際の調査は、全国約100ヵ所の精神科診療所に外来受診した65歳未満の患者約4,600人を対象に実施したのだそうですが、疾患別の割合から全国の患者数と掛け合わせると55万9千人という数字になるとのことです。全国で約55万人が、就労、就学もせず、デイケアなど施設にも行かず、大半が親と同居などしてぶらぶらと暮らしているとのことです。

 日本経済新聞 2009年(平成21年)1月6日

 「新しい精神科地域医療体制とその評価のあり方に関する予備的研究」
 平成21年度厚生労働科学研究費補助金
 厚生労働科学特別研究事業
 研究課題番号: H21-特別-指定-024

 精神科外来を受診しているこの全国約55万人の人達は何らかの精神治療薬を服用している筈です。
中でも、前述のハロペリドールに加えて、その後、続々と開発販売されてきた各種抗精神病薬を服用する人が多いと思います。ハロペリドールを自らに投与した時の感想を投稿した二人のイスラエル人の経験が極めて多くを物語っています。思考が鈍化する、落ち着きがなく作業を継続できない、やる気が麻痺して精神的エネルギーが欠如し、読書も、電話も、家事もすべて億劫になってしまったということですね。僅か一回の投与なのにです。こんな状態で仕事に就いて普通に働ける筈がありません。頑張って仕事を続けていても、そのうち職場で何かへまをやらかすでしょう。雇用主からすぐに首にされます。学校に行っても同級生と同じ様には勉強を続けられないでしょう。仲間と集まって、何か共同で一緒にやる場所に行っても、仲間に合わせて作業することは困難です。

 抗精神病薬を服用している限りはこう言った状態が続きます。非定型抗精神病薬とか第二世代抗精神病薬とかいう名前をつけて、新型で従来と比べて副作用の少ない抗精神病薬であると製薬会社とその先棒を担ぐ精神科医は言いますが、所詮、抗精神病薬であることに変わりはありません。薬は脳の正常な働きに干渉します。認知機能とかやる気とかに微妙な影響がでます。抗精神病薬以外の抗うつ薬でも何でも、そもそも精神治療薬はすべて脳の正常な働きに干渉するように作られています。プラスの効果が出るだけではありません。必ずマイナスの効果も現れるのです。マイナスの効果については誰も長期に渡る臨床試験をやっていません。薬を飲んだ本人しか、服用後どういう感じになったかがわからないのです。また服用後の心や脳の働きの変化が、薬が原因でそうなったことに気が付かない服用者も多いのです。

 精神科医は患者や患者の家族に薬は一生飲むものだといいます。薬を止めると病気が再発する、或は再発する確率が高いと脅かします。でもそんな主張の裏付けになり、確固たる証拠になるような長期の臨床試験は何もないのです。そう言った研究があると精神科医が言うので、よくよく調べて見るとそれは外国の論文で、しかも外国の製薬会社がスポンサーになった研究であったりで、信頼性が低いものばかりです。薬を止めたために離脱症状が出たものを、それは病気の再発だと早とちりしている研究さえあります。

 「リカバリー、リカバリー」と囃し立てて人を集めて、一緒に金も集めている人達がいます。「リカバリー」などという日本人には意味が曖昧な英語を使うのではなく、堂々と日本語で「回復」と言えばいいのですが、「回復」するかどうか、自信がないのです。「リカバリー」などと言っている人達は、普通、薬を飲み続けることを擁護する人達です。薬の作用について深く考えていない人達です。

 薬を飲んでいる限りは真のリカバリー、真の回復はありません。薬を飲んでいる限り、社会復帰して健常者と同じように、通常の仕事に着いたり、他の人と同じように学校に行ったり、他の人には何でもないことをする事はできません。

 55万人の人達の失われた労働、彼らのために使われる福祉予算を考えると、社会にとってのコストは莫大なものになります。しかし、それ以上に私達は人間として、患者本人や家族の不幸に思いを馳せる必要があります。人生を台無しにされているのです。その根本原因を探って行くと、それは精神科医の処方する精神薬にあったのです。ところが世の中の大方の人はそれに気が付いていないのです。精神疾患があるので、社会復帰ができない、正常な生活が送れないと誤って思い込んでいるのです。

 55万人に加えて、厚生労働省の発表しているデータによれば、平成23年に精神科病院に入院していた患者数は30万7千人だったそうです。この30万人の中にも、元々精神疾患といえるような状態ではなかったのに、薬の影響で精神疾患にさせられた人が驚くほど多数いる筈です。

 さらには厚生労働省の統計では、平成23年に入院・外来含めて精神疾患で医療機関にかかっているひとの数は320万人だそうです。日本全国で320万人の人が何らかの精神治療薬を飲んでいることになります。

ブログからうかがえる真実

 日本にあるネット上のブログ「精神医療の真実 聞かせて下さい、あなたの体験」というのがあります。
    http://profile.ameba.jp/momo-kako/

 このブログを主催する「かこさん」(ニックネーム)が、精神科受診歴のある患者本人(いわゆる当事者)やその家族に体験談を語ってもらうというのが主旨です。メールで送られて来た体験談に加えて、電話で当事者やその家族から聞いた話、当事者やその家族に実際会ってジャーナリストのようにインタビューし、取材して書いた記事等がブログには盛られており、当事者の視点で見たら精神科医療はどう映るかを克明に描き出しています。「茶話会」と称する、当事者間の話し合いの場も各地で設けています。かこさんの当事者に対する共感と、その精力的な活動には頭の下がる思いです。まだご存じない読者の方はこのブログを一度ご覧になることをお勧めします。

かこさんには以下の著作もあります。
 「ルポ精神医療に繋がれる子供たち(フィギュール彩)」 嶋田和子(著) 彩流社 2013年
 「精神医療の現実:処方薬依存からの再生の物語」 嶋田和子(著) 萬書房 2014年

 このブログをお勧めする理由は、真実1真実2の原理がそこには明確に現れていると思うからです。

 これとは対極的に、精神科医の書いているブログもまたネット上で少なからず見かけます。更新が頻繁に行われているもの、更新が滅多に行われないものいろいろですが、総じて言えることですが、精神科医のブログで言っていることは精神科医の視点で見た世界であって、精神科医の勝手な思い込みの世界がそこでは描かれていて、患者がどう思っているか、どう感じているかといった視点が欠如しています。患者の証言は何も書いてないのが精神科医のブログの特徴です。ある薬が効いたかどうかについては患者にしかわかりません。2~4週間に1回の数分の診察で患者が一言いうと、それでもう薬は効いたものと精神科医は思い込んでいるのです。ブログにある薬の海外での使われ方や新薬の情報は、製薬会社のMR(営業員)が持ってきてくれるものを単に横流ししているにすぎません。精神科医のブログでよく読まれていそうなのはこれです。

   kyupinの日記 (精神科医のブログ


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